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Eva主宰・脚本作家の小林由木がつづるEvaの足跡
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     Eva主宰の小林由木がつづるEvaの足跡


    一枚の写真。Eva結成より何年か前の、Evaメンバーの一人、後藤と私の写真だ。お互い23歳前後だったと思う。もう××年前の話。お互い若いな、と。

    後藤と俺

    ※現在の後藤(彩生)と小林はメンバーページでご確認を。。。

    そもそも私とEvaを結びつけたのは、元Eva主宰で現在美術・道具担当の、この後藤純也である。
    芸名、彩生カナメ。
    このメルマガを読んでいる方にもファンがいらっしゃるかと思うが、現在の(実はそれ以前から「Eva」はあったのだが詳細は後述する)Evaは彼の企画から始まっている。

    私と後藤は、Eva結成の5年ほど前、俳優養成所で知り合った。NHKアクターズゼミナールというところで、NHKの名を冠していながら有名人を誰一人輩出していないという、華々しい見かけ倒しスクールだ。


    西新宿の、道なりに歩いているだけで迷子になるような、入り組んだ貧乏くさい住宅街の中に、その校舎たるスタジオがあった。その場所で初めて後藤に会ったわけだ。


    生まれも育ちも東京で、都会的センスと最先端カルチャーの塊となっていた私は、青森の漁港とリンゴの入り混じった田舎臭丸出しながら演劇を志す彼が、むしろ新鮮でさえあった。


    都会カルチャーの申し子の私には本来まったく受け入れがたい、イカとホタテの臭い以外さしたる目新しさもない彼を受け入れたのは、端的に言うと「不必要なくらいにいいヤツ」だったからである。


    付き合ううちにそう思うようになった、のではなく、たった一つのエピソードで、私は急激に後藤に関心を持ったのだ。

    それは、いわゆる懇親会の企画であった。

    たしか私たちの代は13期生だったと思う。同期は20人ほどいて、皆が入所のその日に初体面をし、その後1年間、同窓に学ぶことになる。全員年齢は20歳前後。これが普通の会社や組織でであれば、特にカリキュラムになくたって、当たり前のように「クラス懇親会をやろう」となるわけである。
    しかし、皆さん想像が困難かもしれないが、演劇界の底辺の組織だとそうでもないのだ。

    まず、役者になろうなんて人間、中でも俳優養成所に通おう、などという人間は極端に実務能力が低い。つまり、飲み会の幹事もかなり頑張らないとできないような人間、ということだ。また、自分のことが大好きで、他人に興味のない人間が多い。しかも、NHKの場合、全体発表会のようなカリキュラムはなく、全員が深町幸雄というNHKのディレクターに気に入られるためにしのぎを削るような雰囲気があったから、通常の養成所よりライバル意識も強かったように思う。

    とにかく、そんな状態だから、誰も「懇親会」と言い出さない。

    そんな中で、後藤だけが「せっかくだから懇親会をやろう」と言い出した。でも、先述したような雰囲気だから、誰も同調もしない。それでも彼は優しく言い続けた。

    当時、彼は新聞配達としゃぶしゃぶ屋のアルバイトを掛け持ちしながら、養成所に通っていた。言動は常に元気だったが、顔はいつも青白く、仕事の疲れがにじみ出ていた。

    養成所には、それ以外特に何もやっていないヒマな人間もいた。とはいえ、当然誰も動こうとしないから、青白い顔の後藤が「自分が企画する」と言い出したのである。

    しかし、後藤には店の下見や準備の時間もない。とうとう彼は自分の勤めているしゃぶしゃぶ屋で懇親会を開催できるよう、店長に話をつけると言い出し、その通りつけてしまった。

    ほとんど一人相撲でそこまで持って行った彼を、ほぼ冷めた目で眺めていた私だったが、ある日彼が持ってきた一枚のカミペラに私はやられてしまった。

    それは、懇親会の開催を皆に告げるための、お手製のビラだった。

    素人くさいデザインセンスと、つたないコピーでつづられたそれは、哀れなほどに後藤の優しさがにじみ出ていた。

    スタジオの冷たいフローリングの上に、嬉しそうにそのしょぼいカミペラを出す後藤を見て、私は「こんなに哀れなほどにいいヤツと友達にならないのは、人間としての道徳違反だ」と、つい思ってしまったのである。

    そこから、二人は急接近した。皆にそのビラを配り、出席を促すのを少し手伝ったし、当日は会場に少し早く到着して、後藤がやっている配膳を手伝った。

    ちなみに、後藤は養成所の初日から、類まれなる都会的演劇センス満点の私にベタボレで、なにかと私に付きまとい「ユキちゃん、ユキちゃん」を連呼していた。そんなだったから、私が心を開いた瞬間から、二人が親友になっていくのに時間はかからなかったのである。

    その後は、養成所でチームを組んでやるカリキュラムやらなんやら、何をするにも後藤と一緒だったと思う。

    その流れがあって、Eva結成時、後藤が私を誘うことになる。

    今から考えると、ほとんど後藤の一面にだまされたようなものだが、しかし、後藤の様子から、一緒に表現をやっていく人間として、パフォーマーに必要な最低限のもの、「サービス精神」は持っていると判断をしたのかもしれない。

    ああ、こうして書いていたら後藤のことが急激に愛おしくなってきた。。。
    最近、差し向かいで話してないなあ。後藤、めんどくさいから。

    後藤さん、こんどちゃんと差し向かいで飲もうね。

    次回は、Evaの恥部ともいうべき後藤と私のその後の紆余曲折と、私がEvaに参加するきっかけになった、後藤からの勧誘の手紙を公開します!

    ただ、あまりにすごい内容なので、後藤に許可を取ってからにしたい。もし、次回の内容がそうなっていなかったら、後藤のケツの穴が小さかったのだと思ってください。

    今宵はここまでにしとうございます、ヒマじゃないんで。

    | eva-magazine | 17:43 | - | - | - | - |

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