Entry: main  << >>
次回作「透明人間」を想う
0

     演戯の技術の中でよく言われることの一つに、台本に『笑う』と書いてあったとして、「きちんと笑う感情をつくってから笑うのか」「とりあえず笑って、笑っているうちにそういう気持ちになるのか」、どちらが正しいのか、というのがある。

    まあ、なんとなく前者「きちんと笑う感情をつくってから笑う」の方が正統派みたいな空気もあり、あまりお芝居に関わったことのない人は、演技とはそういうものだ、と思っている場合が多いと思う。

    しかし、これは結果を得るためのプロセスの問題で、必要な結果は「役者が笑ったことでお客様が楽しい気分になる」であって、それが達成されれば、どちらでもいい、と私は思っている。

    ちょっと、今、嘘をつきました。

    というか、結果が同じならどちらでもいい、というのは気持ちとしては本当だが、自分のこだわりで言うと、どちらかというと冒頭の議題の後者「とりあえず笑って、笑っているうちにそういう気持ちになる」という考え方で、私は芝居を創作している。そちらの方が感動的だと思うからだ。

    実生活でも、本当に「感情→行動」という風に物事が進んでいないことの方が多い気がするし、特に感動的なことには、逆の「行動→感情」という流れが大きく関わっている気がする。

    たとえば。

    急に大勢の前でスピーチをすることになり、聴衆の期待に応え、自分でも思いもかけない公約を口走ってしまい、言った手前やらねばと頑張っているうちに、公約を達成してしまった、とか。
    本当は泣き言を言いたいが、愛する人を心配させたくないために「大丈夫」と言い、その言葉に自分自身、強い気持ちがわいてくる、とか。

    スピーチをするのが嫌なので、「いやだいやだ」と拒否をしたり、自分の心に正直に愛する人に甘えて泣き言を言ったりしたら、感動のドラマはできあがらない。

    実はこのたとえ話で大切なのは「相手の気持ち」を考えた上での、ちぐはぐな行動、というところである。

    言葉や行動は、本来、自分以外の誰かに投げかけるものなのだ。そう考えれば、その時の自分だけの感情と一致しなくても無理はない。

    相手を思って、、相手に本当に伝えたくて、何かをする、言う。それによって自分の感情が変わるのである。

    さて、そんな風に考えた時、「相手に届けたい言葉NO.1」と言えば、なんだろうか?

    それが、今回の作品「透明人間」のキーワードである。

    答えは劇場で。

    答えを知りたければ、いや、別に知りたくなくても、ほんと見た方がいいですよ、マジで。

    それでは、本番当日、お待ちしております。


    主宰 小林由木

    | eva-magazine | 17:15 | - | - | - | - |

    Calendar

          1
    2345678
    9101112131415
    16171819202122
    23242526272829
    30      
    << June 2019 >>

    Profile

    Search

    Category

    Feed

    Others

    無料ブログ作成サービス JUGEM

    Mobile

    qrcode